自動車業界での3Dプリンター活用事例
AM技術は現在すでに様々な業界・分野にて研究開発や実用化がされています。
特にAM技術の活用が進んでいるのが宇宙航空、自動車、医療業界です。
今回のブログでは、自動車業界に的を絞った活用事例を紹介させて頂きます。
日野自動車の事例
AM製造対象品:
同社が開発中のコンセプトモデル「Flat Former」のエアレスタイヤ
ポイント:
・Stratasys 社の大型樹脂プリンター F900 で製造された樹脂部品
・フィン形状によるクッション性の確保
・タイヤの空気確認の不要化
・モーター、サスペンション、ステアリング機能をタイヤに統合し、スペースの削減を実現
参照元:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000050375.html
ランボルギーニの事例
AM製造対象品:
Sián FKP 37のエアベント、ダッシュボード
ポイント:
・Sián FKP 37 はランボルギーニ初の AM 技術を活用した同社の車種。
・最先端技術を持って作られたこのエアベントにより、快適な加速感と最高の運転体験を得る事に成功。
・AM を活用する事で設計から製造までのリードタイムを短縮し、それまでの工法と比較して12週間の納期短縮を実現。
・材料となるEPX 82は既に同社の燃焼性、揮発性有機化合物、熱サイクルおよび熱老化試験をクリアしている。
XEV YOYOの事例
AM 製造対象品:
シャーシ、シート、ウィンドウを除いたほぼ全ての可視部
ポイント:
・イタリアの電気自動車メーカーXEV社と3DプリンターメーカーのPolymaker社の共同プロジェクト
・AMによる一体製造を活用する事で、従来の数千パーツから57パーツまで部品点数の削減に成功。
・バッテリーを除いた重量は450 kg、最高速度70km/h、持続走行距離は150kmを実現。
・AM技術を活用する以前のモデルと比較し、約70%のコスト削減に成功
参照元:
https://www.inceptivemind.com/xev-yoyo-first-car-world-printed-3d/10701/
今回ご紹介した事例の共通点として、メリットに部品点数削減と軽量化があります。
AM技術を用いて複数部品を一体化製造する事で調達のトータルコスト削減を、
強度を維持した上での肉抜き設計で軽量化を実現しています。
また、軽量化によって燃費改善の効果も得られる可能性があります。
弊社の経験上、AMによって製造された部品の製造費だけを見れば、
多くの場合それまでの工法と比較すると高くなります。
しかし自動車業界の場合、単純な部品の製造費のみではなく、
一体化製造による部品点数削減、軽量化による加速性や燃費の改善といった所までを加味した
トータルコストで検討することで活路を見出すことが重要です。
弊社の方でも今回の記事で御紹介した設備や材料、及び類似事例の対応実績はございますので、
ご興味のある方は是非一度お声がけ下さい。