3Dプリント用のモデルデータを作成するときに守るべきルール
はじめに
3Dプリントを活用するためには、まず対象の3Dモデルが3Dプリントに適しているかどうか
サイズや形状を考慮しなければなりません。
これらの考慮すべき事項は、基本的な機械部品から複雑な建築部品まで、モデルを3Dプリントしたいすべての人に当てはまります。
サイズ
次の表は、カブクが提供している3Dプリントの造形サービスで対応している工法ごとの造形サイズをまとめたものです。
この範囲であれば品質と価格のバランスが取れた、満足いく造形ができる可能性が高いです。
より大きな部品をプリントをしたいという要望にも相談に乗ることができますが、全体的なコストが増加するため、
コスト重視のプロジェクトでは注意が必要です。
別の方法として、パーツを2つ以上のパーツに分割して、別々にプリントして後で組み立てることもできます。
造形サイズ表
工法 | サイズ |
FDM |
20 (mm) x 20 (mm) x 20 (mm)~ |
SLA/DLP |
5 (mm) x 5 (mm) x 1 (mm) ~ |
SLS |
3辺合計値7.5 (mm) ~ |
MJF |
3辺合計値7.5 (mm) ~ |
Material Jetting |
3辺合計値10 (mm) ~ |
DMLS/SLM |
10 (mm) x 10 (mm) x 10 (mm) ~ |
※造形方式でも材料によって造形可能サイズが異なる場合があります。
最小厚み
3Dプリント用に作成されたモデルの中には、よく、とても薄い形状を持ったモデルがあります。
薄い形状は、各工法で造形可能な最小厚みよりも厚くない限り、正確に3Dプリントすることができません。
次の表は、カブクの3Dプリントでの推奨最小肉厚をまとめたものです。
SLA / DLPは比較的小さな形状をプリントできます。
同じ肉厚でも形状によって造形結果が変わってくることもあることにも注意してください。
最小厚み表
工法 | サイズ |
FDM |
Ultem 9085, 1010以外 : 1 mm |
SLA/DLP | 0.3mm |
SLS | 0.8mm |
MJF | 0.8mm |
Material Jetting | 1.0mm |
DMLS/SLM | 0.8mm |
※造形方式でも材料によって最小厚みが異なる場合があります。
データの完全性
3Dプリントを目的としたすべての3Dモデルは、完全に閉じている必要があります。
すべてのエッジは正確に2つのポリゴンに接続され、モデルに穴が含まれていてはなりません。
完全でないモデルは、3Dプリンター用のデータを生成する
ソフトウェア(一般に「スライサー」と呼ばれる)によって誤って解釈される可能性があります。
完全でない3Dモデルは、一貫性のないレイヤー、穴、またはその他のエラーを引き起こし、3Dプリントの結果が失敗となる可能性があります。
モデルがプリント可能かどうかを確認する最も簡単な方法は、NetfabbやMagicsなどのソフトウェアを使用することです。
これらのソフトウェアは、3Dプリント段階で問題を引き起こすモデルの特徴を検出し、修復オプションを提供してくれます。
曲面
SolidworksやFusion360などのほとんどのCADモデリングソフトウェアは、
NURBS(Non-Uniform Rational Basis Splines)を使用して3Dモデルの表面を表示します。
モデルを3Dプリント用のSTLファイル形式にエクスポートする場合、ポリゴンの数を指定することができるなら、
モデルの曲面を表現するために適切な数のポリゴンを指定することが重要です。
これにより、3Dプリントした造形物の外観が滑らかになります。
ポリゴンが少なすぎる3Dモデルをエクスポートすると、面の解像度が粗く、
最終的な3Dプリント造形物の表面にポリゴンのエッジが目立ってしまうことがあります。
これは、大きなモデルでより顕著になります。
逆に3Dモデルをエクスポートするときのポリゴンが多すぎると、ファイルサイズが不必要に大きくなってしまいます。
まとめ
モデルを作成するためのポイントを知っておくことで、3Dプリント造形の検討が格段に速くなり、
3Dプリントしたモデルは期待していた通りの結果に繋がる可能性が高くなります。
これは無駄な試作回数を減らすためにも非常に重要です。
カブクでは3Dモデルをアップロードして素材を選ぶだけで見積ができる「即時見積サービス」を提供しています。
3Dプリントに適したモデルができたら是非アップロードして造形費用を確認してみてください。
もし、あなたの公差が厳しい、サイズが標準サイズを外れる、といった場合は工法や設計からカブクがサポートいたしますので、お問合わせください。