【研磨】バフ研磨とは
表面研磨の一種に、「バフ研磨」があります。
バフ研磨とは具体的にどのような研磨なのでしょうか?バフ研磨の内容や種類について
紹介します。
バフ研磨とは
研磨の一種である「バフ研磨」。このバフは「磨いて輝かせる」という意味があり、バフ研磨においては研磨の道具の名称となっています。
バフ研磨は、布やウール、スポンジといった柔らかい素材をホイール状のバフ機器に取り付け、研磨剤をつけた後に回転させ、そこに工作物を当てて研磨していきます。
バフ研磨は表面を磨く目的の他、バリ取りや表面の平滑度を上げるという目的にも使われます。
バフには「番手」というものがあり、200番手もしくは#400などといった数字で表します。この番手の数字が大きいほど細かくきれいに仕上がっていきます。
バフ研磨の種類
バフ研磨の仕上がりはバフに使われる材質、そして研磨剤によって仕上がりが変わってきます。工程や工作物の種類によって使い分けしていくことが重要となります。
バフの材質
バフの素材の特徴としては、どれも柔らかい素材で出来ており、用途によって使い分けます。
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布バフ
綿や不織布などでできており、下処理から鏡面仕上げまで幅広く使われています。 - 麻バフ
主に荒研磨に使われるバフです。特に金属の荒研磨で使われる他、メッキ前の中研磨にも使われる場合があります。 - ウール
きめ細かく、厚みのあるバフです。傷がつきにくく、表面を均一に磨けるのが特徴です。主に仕上げや、傷を目立たせにくくするコンパウンドに用いられます。 - スポンジ
特に柔らかい素材のバフです。主に自動車などの塗装部分の表面仕上げやワックスかけのために用いられます。
研磨剤の種類
バフ研磨で使われる研磨剤には固形と液体の2種類があり、よく使われるのが固形のものです。
固形研磨剤には多くの種類がありますが、特に使われるのが「赤棒」「白棒」「青棒」と呼ばれるものです。
- 赤棒
赤棒は研磨の最初の工程で使われる、酸化鉄を用いた粒度の粗い研磨剤です。主に下磨きとして使われます。 - 白棒
白棒は酸化アルミニウムを主成分とした研磨剤です。主に中仕上げから仕上げ研磨までに使われます。 - 青棒
青棒は酸化クロムを主成分とした研磨剤です。主に仕上げ用として使われることが多く、鏡面仕上げには青棒がよく使われます。
一般的には、赤棒で荒仕上、白棒で中仕上げ、青棒で最終的な鏡面仕上げという使われ方をします。
バフ研磨のメリット・デメリット
荒仕上から最終的な鏡面仕上げまで幅広く使われるバフ研磨ですが、メリット・デメリットがあります。
バフ研磨のメリット
バフ研磨におけるメリットは以下のようなものがあります。
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細かいバリやキズ、汚れの除去が可能
金属加工を行うと、目に見えないバリやキズ、汚れが発生します。バリやキズなどがあると表面のさわり心地などの品質に問題があったり、精密機械などで使用する場合は汚れなどを除去しなければなりません。
バフ研磨を行うことで、それらをきれいに取り除き品質を上げることができます。
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表面の平滑化の向上
見た目ではわからないですが、指などでなぞって見ると工作物の表面に細かい凹凸がある場合があります。めっき加工や精密機械に使う場合、小さな凹凸も除去しなければなりません。
バフ研磨を行うことで、それらの小さな凹凸を減らしてより精密な製品に仕上げます。
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鏡面仕上げで乱反射を防ぐ
製品によってはより精度の高い鏡面仕上げが求められる物があります。他の研磨では美しく仕上げるのが難しい研磨でも、バフ研磨では精度の高い鏡面仕上げを施すことができます。鏡面仕上げによって見た目がよくなるというメリットの他、日光があたる場所などで使う製品では乱反射を防ぐという目的で鏡面仕上げをする必要があります。
バフ研磨では、精度の高い鏡面仕上げで見た目向上と乱反射防止を可能にします。
- 作業時間が早い
バリ取りや表面の平滑化は、ヤスリなどを用いても作業可能ですが、十分な品質にするためにはかなりの時間を費やす必要があります。
バフ研磨であれば、ヤスリなどの作業と比べて圧倒的に短時間で高品質の研磨を行うことができます。
バフ研磨のデメリット
バフ研磨のデメリットは以下のようなものがあります。
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仕上げに高い技術を要する
美しい鏡面仕上げまで加工可能なバフ研磨ですが、高い品質の鏡面仕上げには特に高い技術を要求されます。そのため、仕上がりは技術者の熟練度に左右され、品質にバラツキがでる可能性があります。
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細かいキズに研磨剤やバフ素材が付着する
バフ加工によってキズの除去が可能ですが、どうしても微細なキズはできてしまいます。その微細なキズに研磨で使われたバフ素材や研磨剤が付着します。付着したバフ素材や研磨剤は洗浄などである程度除去できますが、完全に除去することはできません。
精密機械や薬品などを取り扱う場合、研磨材などの残留物が混ざることで影響がでてしまう可能性があるので、そのような場所で使う製品には不向きとなります。