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【設計実務】図面の書き方 -公差を意識した寸法

・対象:初めて図面を作成する人向け

 

 図面が作れるようになったら、寸法の入れ方に気をつけるようにしましょう。

 工法や材料・環境によって精度は変わりますが、部品を加工するとどうしても寸法にズレが出てしまいます。

 重要な寸法は公差を設定しますが、普通公差でも寸法の入れ方によってズレの量が変わることがあります。

 意識していないところがズレたことにより、穴位置が合わなくなったり、部品同士がぶつかってしまい組み付け出来ないなど、問題が起こらないように公差を意識して寸法を入れるようにしましょう。

 

寸法の入れ方による違い

 寸法の入れ方は、下記の3種類がよく使われています。

 ・直列寸法記入法

 ・並列寸法記入法

 ・累進寸法記入法

 どんな寸法の入れ方でも、それぞれ公差を考えなければいけません。

  ※公差は普通公差m(中級)とします。
  ※表1は『金属プレス加工品の普通寸法公差』の「打抜きの普通寸法許容差」となります。
    (引用:JIS B 0408-1991)

 

 

例1:直列寸法記入法

 直列寸法記入法は、各形状の寸法を一列に並べて記入します。

 図面上の寸法指示は上記で良いのですが、普通公差が適用されるので実際には下記になります。

 直列寸法の場合は、各寸法の公差を累積します。

 仮に全ての公差が最大になった場合、

 0.8 + 0.8 + 0.8 + 0.8 + 0.8 +0.8 = 4.8

 となり、設計値から4.8mmも大きくなるので、

 52.8 + 70.8 + 70.8 +70.8 + 70.8 +52.8 = 388.8

 となります。

 もちろん、各穴位置にも同じように累積するので、基準より遠くなるほどズレ量も大きくなります。

 実際にはここまで極端に寄ることは滅多におこりませんが、こうなった場合もOK品となり、組み立ての現場で困ることになるので注意しましょう。

 

例:並列寸法記入法・累進寸法記入法

 並列寸法記入法は、基準からの各形状までの距離を並列に記入します。

 累進寸法記入法は、基準からの各形状までの距離を一列に記入します。

 取り方は並列寸法と同じですが、寸法を記入するスペースを少なく出来ます。

 図面上の寸法指示は上記で良いのですが、普通公差が適用されるので実際には下記になります。(累進寸法記入法)

 累進寸法記入法(並列寸法記入)の場合は、公差は各寸法に適用されます。

 仮に全ての公差が最大になった場合、

 となります。

 普通公差の表から、基準からの距離が離れるほどズレ量が大きくなります。

 公差の計算をしなくても良いので管理がしやすく、図面もスッキリします。

 他部品との組み付け穴の関係を把握しておいて、基準から離れた穴が大きくズレて組み付かなくならないように気を付けましょう。

 

 寸法記入方法は1図面で複数の記入方法を併用しても良いので、他の部品との関係と公差を意識して図面を作りましょう。

 

 JIS Z 8317-1:2008 製図−寸法及び公差の記入方法− 第1部:一般原則 より抜粋

 

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