航空機業界における3Dプリンター活用事例
今回のブログでは航空機業界にて活用されている AM 技術の事例を紹介します。
主に3Dプリント技術を用いたコストと納期改善をメインテーマとしております。
目次
Boeing社の事例
AM製造対象品:
787 ドリームライナーのチタン部品
ポイント:
・同機はAM技術活用前は1台生産するごとに約33億円の赤字が発生しており、その内の約19億円はチタン部品から来る赤字だった
・AMのチタン造形技術を導入した結果、1台ごとに約3.3億円のチタン部品のコストダウンに成功
・このチタン部品はAM技術で製造された部品としては初めてFAA(アメリカ連邦航空局)の認証を取得
・現状はまだ部品の一部が対象だが、将来的にはより多くの部品をAM技術に置き換えていく予定
参照元:
https://www.theverge.com/2017/4/11/15256008/3d-printed-titanium-parts-boeing-dreamliner-787
Latécoère社の事例
AM製造対象品:
設計段階の試作部品、製造現場で使用される治具
ポイント:
・使用プリンターはStaratasys社製Fortus450mc(FDM方式)
・それまでは板金で40日掛けて製造していた航空機の内装部品の試作品が、AM技術に置き換える事で2日に短縮し、95%の納期改善を実現
・現場や作業内容に合わせた自社製造現場内の治具の作成も今迄は平均6週間掛かっていたものが平均2日に短縮成功
・AM技術で製造された治具は従来の物より50%軽量化され、作業対象の部品に合わせたマイナーチェンジも容易になった
・治具関係の分野においては従来子法と比較して約40%のコストダウンを達成
・今後は最終製品においてもAM技術の活用を検討し、同社の部品提供先であるエアバス社やボーイング社にもより安く提供する事を目指している
GKN Aerospace社の事例
AM製造対象品:
各種試作品、防護マスク
ポイント:
・同社は航空機部品のTier1メーカー
・各種試作品は従来は発注後数週間の納期が掛かっていたが、AM技術を用いる事で製造納期を短縮化
・社内の金属加工時に用いる防護マスクもAM技術の採用で必要な時に在庫レスで手に入れる事を可能にした
まとめ
今回の事例では主に社内の一次試作や形状試作、及び現場内ツールが主な用途となっている事例です。
上記事例の各社は自社内に3Dプリンターを設置する事で大幅な納期短縮を実現しています。
しかし、実際には使用頻度やメンテナンスの煩わしさ、
そしてなにより精度の高いプリンターは数千万以上する事から気軽に導入できないケースも多々あります。
プリンターの導入は考えていないが試してみたい、
実際に導入される前にどういったことができるのか知りたい、等のご要望がある場合は
ぜひお気軽に弊社にご相談ください。