3Dプリンター活用事例 FDM特集
10月より、弊社Kabuku Connectの即時見積サービスに新対応素材としてFDM樹脂が追加されました。
それに合わせ、今回の事例集は新たに対応可能となったFDM樹脂を用いた事例を紹介します。
*既に過去に別テーマで紹介済みな事例も含まれます、改めてご了承願います
目次
英国鉄道会社の車内シート部品
AM製造対象品:
列車内のシートに設置される肘掛け、グラブハンドル(シート上部に取付けられるハンドル)
ポイント:
・英国鉄道業界標準の「EN45545-2」に準拠した最初の3Dプリント素材である「Ultem9085」を使用
・運行期間が長い故に部品が廃盤となっていても、AMであれば在庫レスで都度製造可能
・金型不要で 1 個から製作が可能、メンテナンス時のダウンタイムも短縮
・AM の活用でリードタイム 94% 削減、コストダウン 50% を達成
参照元:
https://idarts.co.jp/3dp/stratasys-angel-trains-3d-printed-parts-chiltern-railways/
Siemens 社の列車部品のスペアパーツ
AM製造対象品:
外装、内装部品 88 種(記事内で明言されているのはアームレストとフロントスカート)
ポイント:
・Siemens社は通常の電車や路面電車の製造事業を行っているが、基本的に各部品は多品種少量生産品。
・部品の多くは鋳造や切削で作られているが、納期は数週間かかることもあった。
・公共の乗り物の場合、部品の故障や破損が生じた際は、遅くとも 1 日以内に補修を完了させる必要がある。
従って、AM技術活用以前は止むを得ず常にいつ使うか分からないスペアパーツをストックしておかなければいけなかった。
・AM技術を活用する事で、短納期な受注生産を実現し、95% 納期短縮を実現した。
同時に、安全在庫の数を減らし、管理コストの低減にもなった。
参照元:
https://additivenews.com/siemens-produces-spare-parts-trains-95-faster-3d-printing/
日野自動車の事例
AM製造対象品:
同社が開発中のコンセプトモデル「Flat Former」のエアレスタイヤ
ポイント:
・Stratasys 社の大型樹脂プリンター F900 で製造された樹脂部品
・フィン形状によるクッション性の確保
・タイヤの空気確認の不要化
・モーター、サスペンション、ステアリング機能をタイヤに統合し、スペースの削減を実現
参照元:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000050375.html
Diehl Aviation社の事例
事例:
エアバスA350XWBに搭載される大型部品
AM製造対象品:
カーテンコンフォートヘッダー
*カーテンコンフォートヘッダー:機内のクラス分けに使用される仕切り部品
ポイント:
・FDM方式で製造された樹脂部品12点を接着して作られている。
・AMで製造された航空機部品としては最大クラスのサイズ(1140×720×240mm)
・従来のアルミ工具を使用したグラスファイバー積層品と比較し、全ての工程を単純化
・初期の構想設計から最終部品までを12ヶ月で達成。
・カスタマイズが容易になり、用途に応じた機能追加が可能。
・修理や部品交換といったメンテナンスも簡単。
参照元:
https://idarts.co.jp/3dp/diehl-aviation-3d-printed-part-curtain-comfort-header/
Latécoère社の事例
AM製造対象品:
設計段階の試作部品、製造現場で使用される治具
ポイント:
・使用プリンターはStaratasys社製Fortus450mc(FDM方式)
・それまでは板金で40日掛けて製造していた航空機の内装部品の試作品が、AM技術に置き換える事で2日にた短縮し、95%の納期改善を実現
・現場や作業内容に合わせた自社製造現場内の治具の作成も今迄は平均6週間掛かっていたものが平均2日に短縮成功
・AM技術で製造された治具は従来の物より50%軽量化され、作業対象の部品に合わせたマイナーチェンジも容易になった
・治具関係の分野においては従来子法と比較して約40%のコストダウンを達成
・今後は最終製品においてもAM技術の活用を検討し、同社の部品提供先であるエアバス社やボーイング社にもより安く提供する事を目指している
GKN Aerospace社の事例
AM製造対象品:
各種試作品、防護マスク
ポイント:
・同社は航空機部品のTier1メーカー
・各種試作品は従来は発注後数週間の納期が掛かっていたが、AM技術を用いる事で製造納期を短縮化
・社内の金属加工時に用いる防護マスクもAM技術の採用で必要な時に在庫レスで手に入れる事を可能にした
USA Air Force の事例
AM製造対象品:
B-2 ステルス爆撃機の AMAD
* AMAD : Airframe Mounted Accessory Drive の略、エンジンの回転を発電機・ポンプ類に繋げて駆動させたり、JFS(エンジンスターター)の回転をエンジンに繋げたりする補助機構。
ポイント:
・採用背景としては、生産数が極小(配備数20機)である点と他機種と互換性の無い独特な形状をしているため
・AM を活用することで、短期間で繰り返し設計変更を繰り返し、最適な形状と仕様を短期間で達成
・20機分全てのカバー作成に要した費用は計4,000US$(約 440,000円)
・素材は記事内では明言されていないが、おそらくUltemと推測
参照元:
https://www.3dprintingmedia.network/air-force-3d-to-prints-the-amad-cover-for-the-all-b-2s-cockpits/
シーメンス・モビリティ社の事例
AM製造対象品:
列車用スペアパーツ
ポイント:
・ロシア国内のRZD社用鉄道車両のパーツ製造やメンテナンスに活用が見込まれている
・サンクトペテルブルクとモスクワの鉄道車両基地に導入される予定
・シーメンス社は既にドイツ国内の列車向けにスペアパーツの製造、実使用の実績あり
参照元:
https://additivenews.com/siemens-prepared-produce-am-spare-parts-high-speed-railtrains-russia/
今回ご紹介した事例で使用されている機種、素材は全て弊社のサービスでご利用いただけます。
弊社システム上で選択肢に出ない素材も対応できる可能性ありますので、その際はお問い合わせください。
試作や採用を検討されている場合はぜひ一度お声がけ下さい。