A2017(ジュラルミン)
A2017は、ジュラルミンとも呼ばれるCuやMgを含んだ高強度型の熱処理合金です。
A2017の特徴
A2017は強度に優れ、環境によっては鉄鋼材料に匹敵します。 切削加工性も高く、鍛造することも可能です。
溶融溶接性や耐食性は他のアルミ合金に比べて劣る傾向があり、溶接には適していません。
その他、A2017は素材の板厚面が綺麗なため、厚み方向の公差に幅は有りますが、そのまま4面フライス品でも使用が可能です。
A2017の用途
A2017は軽量でありながら強度が求められる多様な工業製品に使用される傾向があります。
・航空機、ロケットの部品
・各種金型、ネジ、リベット、機械部品
・その他:家屋の窓枠等
A2017の化学成分
成分規格 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ti | その他 | Al |
0.20〜0.8 | 0.7以下 | 3.5〜4.5 | 0.40〜1.0 | 0.40〜0.8 | 0.10以下 | 0.25以下 | 0.15以下 | 0.05以下 (計0.15以下) |
残部 |
※JIS H 4000:2014より抜粋
A2017はアルミ合金の中でも展伸用合金で熱処理型のアルミマグネシウム合金(Al-Cu-Mg系)アルミニウム 2000系に分類されます。
成分にCu(銅)を添加させることで鉄鋼材料に匹敵する強度を有したアルミ材料です。
他にも代表的な番手として超ジュラルミンと呼ばれるA2024もこの系統にあたります。
調質を行うことによりさらに強度が向上します。
また、Cuを含むことにより強度は向上しますが、酸化しやすい性質を持つため耐食性は低下します。
そのため、腐食の懸念が有る場合はアルマイト処理を行うなどの対策が必要です。
A2017の物理的性質
融点 | 密度 (g/cm³) | ヤング率 (縦弾性係数) | 剛性率 (横弾性係数) | ポアソン比 | 線膨張率 (ppm/K) | 定圧比熱 (J/kg・K) | 熱伝導率 (W/m・K) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GPa | GPa | ||||||
約660.4℃ | 2.79 | 72.6 | 26 | 0.33 | 23.6 | 840 | 201 |
剛性率は他にも、「ずれ弾性係数(ずれ弾性率)」「せん断弾性係数(せん断弾性率)」「ラメの第二定数」と呼ばれます。
A2017(質別:T4)の機械特性
項目 | 代表値 |
---|---|
ブリネル硬さ(HB) | 105 |
引張強さ(N/m㎡) | 425 |
耐力(N/m㎡) | 275 |
せん断強さ(N/m㎡) | 260 |
疲れ強さ(N/m㎡) | 125 |
伸び(%) 棒 | 20 |
※双葉電子工業株式会社 プレート総合カタログ 設備用規格編 レッドブック<設備編>より抜粋
※機械的特性は、使用する機械、ビルド条件や測定条件によって異なることがあります。
※注意:上記のデータは指定の材料、装置、パラメータセットを所定の試験手順によって測定されているものであり、この材料を使用して得られる全ての部品等について保証するものではありません。