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A7075(超々ジュラルミン)

 

A7075は、超々ジュラルミンとも呼ばれるアルミ合金中最高クラスの強度を持つ材料の一つです。
「JIS H 4040」で規定されるアルミ合金で、「T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理)」と呼ばれる冷間加工を行わない熱処理を施して強度を上げます。
A7075の場合は、120℃×24時間が一般的な人工時効処理時間です。

「T6処理」に引張加工を施して、残留応力を除去したものは「T651処理」と呼ばれ、加工歪みの防止に利用されています。
「T652処理」という、焼入れ後1%〜5%の永久歪みを与える圧縮矯正で残留応力を除去する処理もあります。
比重は2.81。   超々ジュラルミンの名前の由来は英語名にあります。
英語では「Extra Super Duralumin」と呼ばれますが、材料開発段階で
E合金(Zinc Duralumin)とS合金(Sander合金)とD合金(Duralumin)が使用されていたため、その頭文字を取ったと言われています。  

※溶体化処理(固溶化処理):固溶体に溶解する温度まで加熱して元素を溶け込ませた後、急冷し過飽和固溶体にすること
※時効硬化処理(析出硬化処理):過飽和固溶体の硬さ、強さ、耐食性を早期に増進させるため、適切な温度または室温で溶体化処理した製品を均熱保持する処理  

A7075の特徴

A7075は加工硬化によって高い引っ張り強度と耐圧力性を持ち、切削性が良好な材料です。
また、ねじ部に強度が必要な場合にも使用され、着脱を頻繁に行う際にはヘリサート加工を加える事もあります。

A7075は価格が高いため、A5052にヘリサート加工を行う事で強度を担保しながらコストダウンを図る場合もあります。
その強度に反して、溶接性が乏しく加工性が劣り、使用環境によっては耐食性、応力腐食割れ(SCC)の対策を施す必要があります。
長い時間が経過すると強度が低下する欠点もあります。  

A7075の用途

A7075は、A2017と同様に、軽量でありながら強度が求められる多様な工業製品に使用される傾向があります。
通常のアルミよりも高価なため、ほかのアルミと比較して強度が必要な箇所に絞って使用される傾向があります。

・航空機、人工衛星、ロケット、車両の部品
・その他工業用:溶接構造材、各種金型
・スポーツ用品:スキー板、ストック、金属バット
・自転車、ロボット  

A7075の化学成分

成分規格
Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 Al
0.40以下 0.50以下 1.2〜2.0 0.30以下 2.1〜2.9 0.18〜0.28 5.1〜6.1 0.20以下 0.05以下 (計0.15以下) 残部

※JIS H 4000:2014より抜粋  

A7075はアルミ合金の中でも展伸用合金で熱処理型のアルミマグネシウム合金(Al-Zn-Mg系)アルミニウム 7000系に分類されます。
超々ジュラルミンとも言われ、強度を高めるため成分にZn(亜鉛)とMg(マグネシウム)にCu(銅)を添加したアルミ合金(Al-Zn-Mg-Cu型の合金)で、
熱処理を行うことで現存するアルミ合金中、最も高い強度を得ることができます。

他にもこの7000系の材料には、溶接に優れた材料として用いられるAl-Zn-Mg型の合金があります。
また、耐食性を改善するためにA7072を表面に貼り付けたものがあります。  

A7075の物理的性質

融点 密度 (g/cm³) ヤング率 (縦弾性係数) 剛性率 (横弾性係数) ポアソン比 線膨張率 (ppm/K) 定圧比熱 (J/kg・K) 熱伝導率 (W/m・K)
GPa GPa
約660.4℃ 2.8 70.7 26 0.33 23.6 962 130

  剛性率は他にも、「ずれ弾性係数(ずれ弾性率)」「せん断弾性係数(せん断弾性率)」「ラメの第二定数」と呼ばれます。  

A7075(質別:T6)の機械特性

項目
ブリネル硬さ(HB) 150
引張強さ(N/m㎡) 570
耐力(N/m㎡) 505
せん断強さ(N/m㎡) 330
疲れ強さ(N/m㎡) 160
伸び(%) 板 11
伸び(%) 棒 9

※双葉電子工業株式会社 プレート総合カタログ 設備用規格編 レッドブック<設備編>より抜粋
※機械的特性は、使用する機械、ビルド条件や測定条件によって異なることがあります。    

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A7075の加工事例

切削A7075
工法 切削
材質: A7075
サイズ: 76 x 58 x 36 (mm)

  ※注意:上記のデータは指定の材料、装置、パラメータセットを所定の試験手順によって測定されているものであり、この材料を使用して得られる全ての部品等について保証するものではありません。