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鉄鋼材料の熱処理・表面処理

種類 処理・操作 内容
一般熱処理 焼入れ 熱く(約800℃ オーステナイト化温度)した材料を急冷(水冷、油冷)する処理 材料の硬度、耐摩耗性を向上させることが目的だが、逆に脆さが増したり、残留応力が発生する。場合によっては、焼割れ、焼曲がりの発生がある。アルミニウム熱処理合金における溶体化処理は焼入れに処理
焼鈍し(焼きなまし) 焼鈍(ショウドン) 再結晶温度に加熱した材料を徐冷する操作 残留応力除去や硬さを低下させる、あるいは被加工(被削)性を向上させる、等を目的とする。
焼戻し(焼きもどし) 一度焼入れした材料を再加熱し冷却する処理。低温焼戻し(200℃前後)、高温焼戻し(500℃前後)がある。 焼入れしたままの材料は硬く脆く、また、残留応力が残っており変形しやすいといった問題がある。これを解決するための操作で、主として硬度を下げずに靭性の回復、耐摩耗性を向上させる、等を目的とする。
焼準(焼きならし) 変態点以上の温度に加熱した後、空気中で放冷する操作 この操作により機械的性質が改善される。前加工の影響をなくし、靭性が高くなる等の効果がある。
サブゼロ処理 焼入れしたものをさらに、すぐに0℃以下の低温度に冷却する処理。深冷処理ともいう。 残留オーステナイトがマルテンサイトへ変態が進行し、材料の硬度がさらに上がる。また時効変形を防ぐ効果もある。-80℃くらいが適当といわれている。

 

種類 処理・操作 内容 硬さ 焼入れ深さ(mm) 処理できる材質 代表的材質
ビッカース(HV) ロックウェルCスケール(HRC)
焼入れ 上記参照 45-63 全体 高炭素 C>0.3% SKH9 SKD11 SKS3 SKS93 S45C
表面熱処理 浸炭焼入れ 鋼の表面部分だけの炭素を多くするために、浸炭剤の中で加熱する焼入れ 個体浸炭剤、液体浸炭剤、期待浸炭剤といったものが使われ、このような浸炭剤の中で加熱すると、炭素が鋼のほうに入り込んで、表面近くだけが高炭素鋼になる。ミリ単位の深さまで焼入れができる。 750以下 標準0.5 最深2 低炭素鋼 C<0.3% SCM415 SNCM220
火炎焼入れ 酸素アセチレンガスなどのガスの炎で加熱する焼入れ 局部過熱ができ、焼入れ硬化層範囲や深さを自由に選択できる。また、硬化層硬さが緩やかに低下していくので剥離の恐れがなく、高周波焼入れのようにコイルや治具を必要としない等のメリットがある。 62以下 1.5-5 S45Cなど (SX105V) (HMD5) (GO5)
高周波焼入れ 品物を高周波コイルの中に入れて高周波電流を流し、誘導電流を品物に起こさせ、表面だけを加熱、焼入れする 高周波の誘導電流は品物の表面に集中するので、表面だけが加熱される。先の方法で加熱、焼入れをする焼入れ方法。部分焼入れが可能 45-56 1-2 中炭素鋼 C0.3-0.5% SUJ2 S45C
窒化 鋼の表面に窒素を拡散させる処理。アンモニアガスの分解による窒化と、青酸による液体窒化とがある。 この方法は加熱だけで、焼入れ、焼戻しが不要なことと、浸炭よりも加熱温度が低いので、歪がでないことが利点である。しかし、ガス窒化の場合、処理時間が長いことが欠点 1000以下 0.1-0.2 鉄鋼 SACM645 SCM SUP SPC STKM
塩浴軟窒化 (タフトライド) シアン酸塩KCNOを主成分とした塩浴剤を使用 軟窒化。無給油潤滑に達する。硬さはあまり硬くないが、処理時間が短くなるのが利点 炭素鋼HV500 ステンレス鋼HV1000 以下 0.01-0.02 鉄鋼 S45C SCM415 SK3 ステンレス鋼

※双葉電子工業株式会社 プレート総合カタログ 設備用規格編 レッドブック<設備編>から抜粋

 

 

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