【設計実務】板金部品の設計 -曲げR
板金加工とは、金属の板材を切断や折り曲げたりして目的の形状に加工する方法で、安価で立体的な形状を作れることから、様々な業界で使われています。
折り曲げるといっても、折り紙のように好きな位置でどんな形にでも曲げられるわけではありません。
CAD上では問題なく形状を作成できていても、実際に曲げ加工した部品が設計した形状と違ってしまうことがあります。
装置の設計中に、板金部品を実現不可能な形状や、折り曲げによる形状の変化による干渉を解決しないまま設計して組み込んでしまうと、製作できない部品が出るため、装置全体を再設計をしなければなりません。
場合によっては最初からやり直すことになるかもしれません。
そうならないためにも、板金部品の設計に必要な基礎を知っておく必要があります。
・曲げR
金属板を曲げると、曲げの内側と外側が丸くカーブします。
この曲げを【曲げR】と呼んでいます。
曲げRは板材の材質や板厚で変わります。
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線の位置で曲げると 曲げた部分の外側と内側が丸くなります
・無理曲げ
曲げ部の形状によっては、加工不可であったり、曲げRによる変形や割れが発生することがあります。
下記の画像のように、板端から曲げRを含め無理なく曲げられる位置よりも内側になっている形状は無理曲げとなり、様々な不具合が起こる可能性があります。
1.寸法ズレ
加工のし難さや曲げの負荷による想定していない変形により、設計寸法から大きく外れることがあります。
加工や補正することで修正できますが、工数の無駄になります。
2.変形
曲げることで、ねじれや膨らみが発生することがあります。
加工や補正することで修正できますが、工数の無駄になります。
3.ヒビ・割れ
無理に曲げたことで、板材に負荷がかかりヒビや割れの原因になります。
完全な加工不良なので、作り直さなければなりません。
曲げの根元にヒビ 曲げRの外側が割れる
・曲げRを考慮した形状
無理曲げにならないように設計の段階でニゲを用意します。
こうすることで、無理曲げによる加工不良をなくすことができ、更に作業性が良くなり精度の向上が見込めます。
ニゲに必要な幅や長さは材質や板厚で変わりますが、基本的には板厚の2倍程度にとりましょう。
例1:オフセットしてニゲる方法
例2:曲げの両側を切り欠いてニゲる方法