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【切削】マシニングセンタについて

今回は工作機械のうちの一つであるマシニングセンタについて少しだけご紹介します。

 

はじめに

現在、日本だけでも何十社ものマシニングセンタの製造メーカーが存在しています。色や形も様々で、近未来的なデザインの機械も最近では多く見られるようになりました。他社との差別化を図るための策が施され、ますます盛り上がっている業界の一つと言えるでしょう。ロボットの普及とマシニングセンタの機能向上により、複数台の同機種を並べて製造している工場も近年特に増えているのではないでしょうか。

 

マシニングセンタの製造方法

マシニングセンタを製造するにあたり、全工程をロボットが行っているメーカーはほとんどないと思われます。その理由が、人間の手により様々な調整をしながら組み立てなければならないからです。一つ一つの部品の取り付け姿勢を確認、調整しながら熟練工の手により組み上がります。その取り付け精度はmmの千分の一の大きさのμm(マイクロメートル)の単位になります。

 

とはいえ、マシニングセンタの部品の多くがマシニングセンタやターニングセンタ(NC旋盤含む)などの工作機械により加工して作られます。工作精度や難易度が高い部品も数多く使用されています。

 

工作機械はマザーマシンとも言われ、その名の通り機械を生み出す機械の俗称です。ですので作り出す部品は、マザーマシンよりも工作精度の高いものは出来ないと言われています。マシニングセンタの製造には熟練工による腕と、精度基準を満たしている部品と、それを組み上げる時間が必要とされます。工作機械が高価である理由がここにあります。

 

マシニングセンタの種類・変遷

マシニングセンタの種類も、ターゲットによって様々です。加工するための機械であることには変わりはありませんが、何を加工するかによって機械の仕様が異なってきます。多量の部品を製造するために開発、製造されたマシニングセンタは軸の移動速度が早く、大きな一つの部品を時間をかけて製造するために開発、製造されたマシニングセンタは軸の移動速度こそ早くなくとも、熱による姿勢変化をなるべく無くし、そもそも熱が発生しづらくなっていたりします。mmの百万分の一の大きさのnm(ナノメートル)レベルの加工に特化した機械など、用途に合わせて選択できるほど種類が豊富になってきています。それと同時に価格帯も幅広くなっています。

 

安全装置においてもこの10年で製造されている機械と、それ以前では大きく変わりました。通信技術の進歩により遠隔で監視することができ、機械にアラームが出た場合にメーカーに問合せることが容易にできるようになりました。機械側においても、扉を開けて加工できていた以前と比べ、現在は扉を閉めていないと加工することができない仕様の機械ばかりになっています。それにより大きな事故は起こりにくくなりましたが、加工の為の段取りや加工中の確認などで以前より使いづらく感じるオペレーターも最初は多くいることでしょう。それも安全のためであり、やはり命には変えられませんし、ユーザーにより安全装置を取り外して使用することは、危険を伴うばかりか災害時に保証が効かない可能性が十分にありますので決してしてはいけません。

 

マシニングセンタの機械精度について

単純に100mm動く様にマシニングセンタに指令したとします。当然100mm動きますが、100.0000mmであるかと言われれば必ずしもそうではありません。組み上げた時の僅かな誤差や、部品の寸法精度でバラツキが発生してしまいます。常に温度の変わらない空間においてと、温度変化のある空間においてもバラツキが出てきてしまいます。100mmの指令に対し、行き過ぎてしまったり、行き足りなかったりという現象が発生してしまうのです。このような機械独自のバラツキを備え付けの制御装置で補正することにより、一台一台の機械精度をバラツキなく製造することができます。しかしこの機械精度も、メンテナンスなくして維持できるものではありません。マシンオペレーターによる日々のメンテナンスや、メーカーによる定期メンテナンスを長く続けることにより、その機械精度は保ち続けることができ、安定した工作精度で部品を加工することが出来るのです。

 

終わりに

高度な工作精度を持つマシニングセンタであってもそれを取り扱うオペレーターや加工プログラムを作成するスキルが無くては良品を産み出すのも困難になります。熟練工が減り、人材育成が困難な現代で、このような危機に直面している企業も決して少なくないでしょう。しかしながら、ITとの融合とマシニングセンタを含む工作機械の進化により、日本のものづくりの未来が明るくなっていくことに繋がると信じています。

 

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